無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 宙からの書き込みは三日後にあった。


『なにやら意味深ですね(笑)

 そういえば、
 恋に悩むうら若き女性でしたね アネモネさんは   宙』



 書いた本人も忘れていたが、そういえば……と、ユキは思い出した。

 花菱百貨店の大石に告白されて、
大石の名前が宙だと知った時だ。

『夢幻泡影』の宙は大石なのか? と疑って、
 鎌をかけるつもりでメールにそんなことを書いたのだった。



 今では大石宙が『夢幻泡影』の宙だとは思っていないが……それでも

 ユキの勝手な想像では、
宙は大石宙に負けないくらい素敵な人に違いなかった。

 見た目はどうあれ、少なくとも品の良さが感じられるようなスマートな男性であるはずだと。



 それはともかく、
 自分ですら忘れていた事を、宙が覚えていてくれた。


 それだけで、否応なくユキの心は弾んでしまうのだった。 
< 92 / 316 >

この作品をシェア

pagetop