無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 西園寺ホールディングスは、他の一流企業同様厳しい入社試験を勝ち抜いた者だけが席を連ねる人材の宝庫である。


 自信に溢れていた彼らが、西園寺家に生まれた時からその地位を保証されている直系の御曹司を、胸のうちに何を思って迎え入れたのだろう。


 噂に違わぬ風貌に、女子社員が瞳を輝かせた事こそ言わずもがなだが、

 男性社員はどうだったのか。


 出世の野心に燃やす瞳を向けたのか?
 それとも内心、いかほどの者かと鼻白んで見ていたのか?……


 どんな視線を向けられていたにせよ、

 凡そ臆するということを知らない西園寺洸は、部屋を開け放ち、

 自ら率先して対話の中に入った。



 彼の柔軟な微笑と甘い口元は、女性を魅了する為だけにあるわけではない。


 西園寺洸は人を懐柔する天才だった。


 いつしか彼のデスクは常に人に囲まれるようになり、

 女性職員が出す珈琲を笑顔で受け取っていたのである。
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