瑠璃色の姫君




「また2人になったねー」



フリュイがスキップをするので、ルディがバサバサと羽音を立てて僕の肩に飛び移ってきた。


シュトラントへの道をフリュイと2人で歩く。



「フリュイは、僕がレティシアを見つけて城に戻ったらどうするつもりなんだ?」



今まで特に考えてなかったけれど、フリュイは何か僕には言えないらしい目的があって旅に出ているはずなのだ。


僕が城に戻ったら、彼はどうするのだろう。



「んーセイラのお姉ちゃんのところに帰ろうかな。そろそろあそこのパン食べたいし」



セイラというのは、僕が贔屓しているシュトラントの街のパン屋の看板娘だ。


真っ黒なストレートの長い髪を思い出して、ひどく懐かしく感じる。


フリュイとはそこで出会ったのだ。



「あーなんかお腹すいたなー」



鞄の中に手を突っ込んで、馬車を貸してくれたおばさんから貰ったチョコレートを取り出し、口に放り込むフリュイを見ながら考えた。


パン屋に帰るのなら、何がフリュイの目的だったのだろう。



「あのさ、フリュイが旅に出た目的はなんだったんだ?」


「んー?」



ピーナッツがフリュイの口の中でガリッと音をさせた。



「秘密、内緒、教えない」



……出たよ、秘密主義フリュイ。


どうしても僕には目的を教えてくれないんだな。



「バベルったら、しつこいねぇ」



だって、気にしないようにしててもやっぱり気になるもんなんだよ。


むすっとした僕に、フリュイがチョコレートを差し出す。




< 137 / 248 >

この作品をシェア

pagetop