瑠璃色の姫君




しがみつくように引っ付いてくる彼女を、ぐっと引き寄せる。


もうね、ダメだよね。


欲しくて堪らなかった彼女を手中に収められただけでいつも幸せなのに。


こんな風に朝の短時間だけだけれど、甘えてきてくれたらもう本当に幸せをすごく感じるというもので。


ほらもう僕の頬っぺた緩々。



「僕、旅に出て良かったな……」



そう思うのである。


というよりも。



「行動力ある人間で良かったぁ」



行動力が無ければ、レティシアへの強い気持ちがあっても動かなかったかもしれない。


王子たるもの行動力があるのは当然のことだが、それでも行動力があって良かったと思うのである。



「フリュイね、ココア飲みたい……」



ふと、彼女が寝ぼけたまま、そう呟いた。


フリュイであった時に、ココアが好きだとは言えなかったことが気になっているのかもしれない。


彼女は今でも、よくフリュイの時の発言をする。



「……そういえば、旅に出る前はレティって何してたんだろ」



愛する彼女は、いつになってもどこか秘密主義を匂わせている。



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