瑠璃色の姫君




その様子に、笑みがこぼれた。



確かにここで止まっていられない。


僕は、レティシアを見つけなきゃならないのだから。



「ありがとう、ガレット」


「ルディをよろしく」


「ああ、預かる」



鳥籠を受け取り、ルディに「よろしくな」と声をかけた。


ルディは、首元の黄色のリボンを風に揺らし、羽を少し動かして僕に応えた。


それを見てまた笑う僕をガレットは優しい声で呼んだ。



「バベル」


「うん」



ルディからガレットに目を移すと、彼はルディの餌を手渡してくれた。



「絶対に帰ってくると約束してくれ」



その手は力が入っていて、僕の掌の上に乗った餌は、下に押し付けられた。



「ああ、約束だ」



ぎゅっと餌とそれを掴むガレットの手を握る。


餌から顔を上げれば、ガレットはにっこりと笑っていた。



「うしっ、行ってこい!」



背中をばちんと叩かれる。



「行ってきます!」



背中の痛みに顔を引きつらせながら、口元には笑みを浮かべて、僕はフリュイの手を引いた。


フリュイは、半身の状態のままガレットに大きくぶんぶんと手を振る。



「ガレット、また来るね!」


「いつでもおいで、フリュイ」


「ありがとう! バベルのことは任せてね!」


「頼りにしてるよ」


「うん! 行ってくるね!」



カランカラン、軽やかなベルを鳴らして僕らはガレットの店を出た。




さあ、旅の始まりだ!




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