チェロ弾きの上司。
あたしは席に戻り、水筒に残っていたお茶を飲む。
真木さんは後ろに立ってる。

「これでもいろいろ気をつけて、いろいろ試して、だいぶましになったんです」

「もしかして、こないだの話、断ったの、身体のせいか?」

「……前の会社を辞めたとき、決めたんです。自分の身体は自分で守ろうって。他の人から甘いと言われても、守れるのは自分だけなので」

あたしは水筒をバッグにしまった。

「ご指示いただいた資料、共有フォルダに入れておきました。お先に失礼します」

後ろの真木さんにお辞儀をし、出口へと向かう。

「おい、大丈夫なのか? 送っていこうか?」

あはは、おかしい。
真木さんが優しいなんて。
いっぱい話してくれるなんて。

あたしもおかしい。

……泣きそうだなんて。

「平気です。練習の後お戻りになったということは、お仕事残ってらっしゃるんですよね。お時間無駄にさせて申し訳ありませんでした」


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