チェロ弾きの上司。


1回休んだ次のオケの練習日。
4日間楽器を触らず、その後2週間ろくに練習しなかったツケを取り戻すのは、ものすごーく大変だと実感した。
ただ、この間みたいに、つらくはない。よかった。つらくなければ、頑張れるから。


練習終了後、団長が指揮台に立った。

「次の定演のプログラムが決まりましたので、発表しまーす!」

わあ!
立ち会えてよかった!

「今回も2曲プロでーす!
後半の曲から行きまーす!

後半は、シューベルトの交響曲第8番、ザ・グレイト!」

ををー、という声があがる。
長いなー。でもハ長調だし。という声も聞こえる。

「では、前半を発表しまーす!
なんと! とうとう! この日が来ましたよ、皆さん!」

ためるなぁ、団長。
何が発表されるか知ってるあたしは、苦笑しながら見守る。

「メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲! ソリストは三神圭太郎!」

「「わー!」」「「をー!」」
練習場が一気に盛り上がり、盛大な拍手が沸き起こった。

三神さんが立ち上がって、苦笑しながら、みんなにお辞儀をする。

「指揮は、今回に引き続き、そちらにいらっしゃる早瀬マリ先生!」

早瀬先生、後ろできいていらしたのね。
これまた大きな拍手。

「メンコンのコンミスは、永野結花!」

セカンドパートリーダーの永野さんが立ち上がってみんなに向かってクールにお辞儀をする。

「議事録配布しますので、パートリーダーは取りに来てくださーい! 次回も頑張りましょう! お疲れ様でした!」
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