チェロ弾きの上司。
ステージ入場を待つ廊下。
ヴァイオリンのメンバーが列を作っている一番後ろで、あたしはうろうろしていた。
ちなみに、チェロは反対側の袖からの入場なので、待機場所は別。

真木さんがあたしを?

好きってどういうこと?

しかも付き合うって……あの真木さんだよ。
上司だよ。

穏やかな恋愛とかになるはずない。

あたしの人生、地味でいいのに。

……でも、正直、好きって言ってもらえたのは、少しうれしい気もするような?

いや、いやいや!
おこがましいにもほどがある!


「望月さん、落ち着いて?」

あたしが緊張してると思ったんだろう、三神さんが、落ち着いた声で優しく声をかけてくれた。

三神さんはご自分のソロがあるのに、いつも通り、落ち着いていて。
そういえば、緊張してるところとか、見たことない。

「大切なのは、どうすべきとか、人にどう思われるかじゃなくて、望月さんの本当の気持ちと、望月さんがどうしたいか、だよ? こういう時くらい、ワガママになっていいんだよ?」

…………。

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