チェロ弾きの上司。

そして、いよいよチェロのソロがやってくる。

真木さんがあたしに視線を送ってくるのがわかった。

はいはい。見りゃいいんでしょ。


…………。

……見てなきゃ、だめ?

だって。
何それ。

そんなに優しい弾き方から、そんなに情熱的な音が奏でられるなんて。


柔らかなボウイング。
左手は、指板の上を揺れながら軽やかに踊る。

美しくて、艶やかな音色が、木管やホルンの音色と溶け合い、ホールに響いていく。

練習の時だって、うまかったけど、今は何かが違う。

音に意思が込められているというか。
何か訴えかけてくるというか。

何だろう……ドキドキ、する。

三神さんの演奏聴いてる時のドキドキとは、また違ってるんだけど……。


今度はチェロソロの伴奏に、ヴァイオリンソロが入る。
早瀬先生が、三神さんにキューを出す。楽しそうに笑いながら!

で、真木さんは三神さんと目を合わせて、ニヤっとして、音楽を紡いでいく。

真面目にやってください、本番なんだから!
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