チェロ弾きの上司。
ステージに向かって、歩きながら、考える。

カルテット、練習も本番も楽しかった。
練習では、それまで見たことのない真木さんが見られて。
本番前は真木さんが励ましてくれて。
本番は真木さんがいれば大丈夫って思えて。
終わった後は、真木さんに褒めてもらえてうれしくて。

その後も、

話ができたら楽しくて。

優しくされたらうれしくて。

嫌われたと思った時は悲しくて。

抱き締められたら気持ちよくて。


……なんで気づかなかったんだろう。



そんなことを考えながら、ステージの自分の席にたどり着くと、真木さんが視界に飛び込んできた。


目が合って。

ふわっと微笑んでくれた。


好きな人に笑ってもらえるのって、うれしい。


なーんだ、
あたし、真木さんのこと好きだったんだ……。


気づいちゃえば、単純なことだったのに。

あたしってほんとバカ。

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