チェロ弾きの上司。


付き合い始めたんだから、少しは優しくしてくれるのかな……なんて期待したあたしが馬鹿だった。

「望月っ、まだプリンタ直らないのか!」

公私混同しない、という宣言通り、会社では見事に今まで通り。

「今サービスマンさん呼んでますので、お待ちください!」

今朝からプリンタの調子が悪かったんだけど、とうとうあたしの手に負えなくなり、修理を依頼した。


「こんにちは! プリンタの修理にまいりました、R社の地口です!」

入口から、爽やかで元気なサービスマンさんの声!

待ってましたよ〜!

短髪で日焼けした肌の男性。
初めての人だな。
隣で佐倉さんが、“あら、いい男”とつぶやいたのがきこえた。

「お電話くださった望月さんはいらっしゃいますか?」

「はい、望月です! こちらのプリンタなんですけど」

「……望月さん……? もしかして、みーちゃん?」

へっ?

あたしをそう呼ぶ地口さんということは。

「あっくん⁉︎」

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