チェロ弾きの上司。
いいものを召し上がっているであろうセレブな真木さんにごはん作るとか、緊張した。
煮魚、ほうれん草のおひたし、かぼちゃの煮物、味噌汁という、ザ・和の家庭料理にしてみました。あたしが食べたかったんだけどね。
おいしいといって完食してくれたので、ほっとした。
で、真木さんはただいま、食後にコーヒーを飲んでくつろいでいらっしゃる。
あたしがあらかた後片付けを終えた頃、声がかかった。
「まあ、座れよ、望月」
嫌な予感がする。
が、座らないとこれまた大変なことになることが想像できるので、あたしは自分のハーブティーをいれたマグカップを持って、ローテーブルのはす向かいに座った。
真木さんはテーブルに頬杖をつき、こちらに流し目を送ってくる。
「で、今日のあいつは何なんだ?」
……きた。
あたしは答える言葉をよくよく考える。
失言しようものなら、絶対見逃してくれないことは確実だ。
「小学生の頃、隣に住んでた男の子です」
「ふーん。あっくんとずいぶん仲良しだったみたいじゃないか、みーちゃん」
ほんと性格悪い。
何でこんな人好きになっちゃったんだろ。
「別に、昔の話です。真木さんが早瀬先生と仲良しなのと同じです」
「ふーん」