チェロ弾きの上司。
丸テーブルに、社長、真木さん、あたし。
朝礼時の社長の説明によると、真木さんはWebディレクターをやるらしい。
クライアントさんの要望をもとに方向性を決め、デザイナー、ライター、プログラマー、コーディング担当などのスタッフに仕事を振り、彼らをまとめ、サイト制作進行を管理するのが主なお仕事。
さらには、アクセス解析をして改善案を立てたりもするらしい。
今まで社長がやっていた仕事だ。
じゃあ社長は何をするのかというと、営業や企画に注力するとのこと。
何か大きいこと考えてるんだろうなぁ。すごいなぁ。
社長は、30歳。大学卒業後この会社を立ち上げて8年。
順調に業績を伸ばしてきた。
全身から、“夢を持ってる起業家です!”オーラが溢れていて、あたしには眩しすぎる。
あまり直視したことないけど、体育会系の爽やかイケメンだ。
「これ、組織図」
社長が示した紙の組織図を見ると。
……望月の上に、真木ってある。
その上が社長。
……ええっ、真木さんが、あたしの直属の上司ってこと⁉︎
「望月さんには、今の仕事に加えて、真木のサポートにもついてもらいたいと思ってる。今の仕事、少し調整出来そう?」
社長がすごいと思うのは、こういうところだ。
普通、何とかしろ、だよね?
「月初と月末以外でしたら……。
皆さんからは、指示を早めに出していただけると助かります。
あとは経費計上締切を守っていただいたり、勤怠管理システムにきちんと入力していただいたり、ちょっとした協力で少しは調整できると思います」
「急ぎの仕事はなるべくなくさないとなー」
「仕方ないときは仕方ありませんので」
「その時は遠慮せずに残業申請してね」
「はい」
「じゃ、真木、後はよろしく」
社長が去り、真木さんと2人、残された……。