チェロ弾きの上司。

「望月! ちょっと来い!」

「ハイっ」

うわー、真木さんが明らかに怒ってる。
何か間違えちゃったかな……。

だるい身体に鞭打って、真木さんの机に飛んでいくと。

「このデータおかしいだろ。計算式が違ってる」

ディスプレイには、さっきあたしが入れたデータが開かれていて。

真木さんが苛立たしげにマウスをカチカチさせている。

……。

あー……。

ケアレスミス……。

「時間かかってミスしてたんじゃ話にならん」

おっしゃる通りです……。

「申し訳ありません、すぐにやり直します」

「いい。オレがやる」

……あー、ズシンときた。
役に立たないと言われてるみたいで。

「お前さ、調子の波があるな。気をつけろよ」


今度は、ズキリ、とした。

心の奥まで抉られる感じ。

あー……。

自覚はあるから、気をつけてたのに……。


理由は自分でわかってる。


「申し訳ありません。気をつけます……」

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