チェロ弾きの上司。


だるかった身体が軽くなって、霧がかかったような頭がクリアになって、憂鬱な気分が嘘のように晴れて、いつもの自分に戻れると、心底ほっとする。

そんな爽やかな水曜日の朝。
夜にオケの練習があるから絶対残業したくないあたしは、早めに出社することにしてる。
後回しにしてた仕事、バリバリ片付けるぞー。

出社してる人はまだ数人。
あたしが席に着いて始業の準備をしていると。

「おはよう」

真木さんが出社してきた声。

「おはようございます。あれ、真木さん、何ですか、その大荷物」

入り口が見える席の、営業の野原くんが不思議そうに言った。

見ると、

……チェロケース担いでるよ‼︎

赤みがかった茶色で、木目模様が入っていて、つやつや光っているハードケース。

インテリアとしても高級感が……って、ここ、会社ですから!

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