チェロ弾きの上司。
「まあまあ、真木。ちょっと休憩しよう」

三神さんは立ち上がってヴァイオリンと弓をケースに収めた。

「望月さん、ちょっと楽器貸してもらえる?」

あたしが楽器と弓を差し出すと、三神さんは顎当てに布を挟み、楽器を思いっきり鳴らした。

うわー。

あたしの楽器、こんないい音出るんじゃん……。
弾く人が弾けば……。

三神さんは4本の弦を鳴らし終えると、楽器をいろんな角度から見ながら言う。

「最後に調整出したの、いつ?」

「春です」

「んー、そっか。ちょっといじっていい?」

「どうぞ」

三神さんはちょいちょいと駒をいじる。眺める。鳴らす。
それを何度か繰り返し、最後に調弦して、返してくれた。

「弾いてみて」

あたしもあんないい音出したいな……

って!

わあ、何じゃこりゃ!

めっちゃ、鳴る!

例えるならば、家庭のガスコンロの中火がレストランの厨房の強火になった感じ?

あたしも駒の傾きが気になれば直すけど、ここまで変わったこと、ない。
どんなマジックを使ったんですか、三神さん⁉︎
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