君に会う為に僕は眠る
第1夜
 12月も下旬に入り、世間はすっかりクリスマスムードに包まれていた。街では様々なイルミネーションが彩られ、街を着飾っている。派手な光が否が応でもクリスマスを思い起こさせる。
イルミネーションの下ではカップル達が愛を深め合い、郵便局員は仕事に追われ、仕事帰りのサラリーマン達が忘年会へと繰り出している。
そんな中、斉藤勇太はただ1人、部屋で今日もネットゲームに明け暮れていた。誰と話すわけでもなく、誰と遊ぶでもなく、ただ1人パソコンモニターと睨めっこをしていた。
 パソコンのキーボードを打つ音と、ケースファンが回る音だけが乱雑な室内の中で微かに音を響かせている。
「さっさと回復しろよ。下手くそヒーラーが」
勇太は舌打ち混じりの罵声を暗い室内で心もとなく光るモニターに向かって吐き捨てるように浴びせる。貧乏ゆすりが止まらない。
「ナイトもちゃんとタゲ取れよ。馬鹿が」
女の子の髪の毛みたいに伸びきった不潔極まりない、ボサボサ頭の髪の毛を乱暴に掻かきむしる。
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