不器用ハートにドクターのメス
まるで何もかもわかっているような堂本の口ぶりに、神崎はいっそう、眉間のシワを深くした。
「なに気色悪いことを――」
「だってお前、来るもの拒まず去るもの追わずだっただろ。ヤるかヤらねーか。そういうのじゃない……とかさ、中途半端な関係築いたことないじゃん。一人の女にそんなに入れ込むの、初めてなんじゃないか?」
そんなこと――神崎は否定の言葉を発しようとしたが、否定できなかった。
その通り、だったからだ。
一人の女のことをこんなにも考え、苦くもどかしい思いを抱いたことは、今までになかった。
興味を持った相手は、おとしてはすぐに手放してきた。ほとんど百戦百勝だったが、長引きそうであれば途中で面倒になり、自ら興味をなくしていた。
ここまで長く、一人にとどまったことはない。
先ほど仕事の話をしているときとはうってかわって、口の滑りが悪くなった神崎を面白がるように、堂本は食卓に肘をつくと、顔をのぞきこんで言った。
「そうかそうか。あの神崎もとうとう、まともに恋愛できるようになったんだな」
「~っ、アホか!!んなわけ――」
神崎はすぐさま反論したが、それと同時に、胸にぐっと詰まるようなものを覚えた。
どうしてこんなにも、福原のことが気になるのか。
何度も自問したその疑問に、神崎は今まで、”恋”などという語を、当てはめてみようとも思わなかった。
恋愛なんて、自分はまともに経験することがない。そう、思い込んでいたからだ。