不器用ハートにドクターのメス
もういいだろ、と、神崎は軽くあしらうつもりだった。
が、堂本にさらりと言い当てられてしまい、わずかにだが、珍しく狼狽した素振りを見せてしまった。
ぬけのない堂本は、そこにすかさず食いついていく。
「おっ、ビンゴ?なになに、聞かせてくれよ」
「……違う。あいつはそういうのじゃ――」
「へえー!”あいつ”!!」
「……っ、」
しまった、と口をつぐむ神崎に対し、堂本がにやりと笑う。
笑顔というよりも、人の揚げ足をとって面白がるような、愉悦にゆがんだ顔だ。
そして何を勝手に納得しているのか、「そうかそうか」とくつくつ笑いながら頷き、堂本は言った。
「どんな子?病棟勤め?」
「……知らん」
「なあって」
むすっと黙り込んだが、その後もしつこく繰り返され、神崎はとうとう半ばヤケ気味に、ため息交じりに吐き捨てた。
「……オペ看だよ。新人の。でも、ほんとにそういうのじゃない」
素直にそうこぼしたのは、堂本の粘りと、それにうまい酒と料理、暗い照明の相乗効果あってこそだろう。
普段の神崎なら、自分の女性関係の話は極力したがらない。たとえそれが、もうすぐおとせそうだとか、順調に進んでいるものであっても、だ。
マジか!新人ってことは10個くらい下か!などと楽しげな声を上げたあと、堂本は、ふいに声のトーンを下げて言った。
「なんか、今までとは違うんだな」
「……なにが」
「なんとなく。言い方に愛情を感じる」