不器用ハートにドクターのメス

飾らない神崎からの言葉に、真由美の涙は、いよいよ止まらなくなった。

次々に出て、止まらない。

泣いてしまってはもったいない、と真由美は思う。

だって泣いてしまったら、先生の顔が見えなくなってしまう。

ずっと、ずうっと頭で想像して、ずっとそばで見たくて、見てしまうと緊張するけれど、それでもじっと見つめていたい、大好きな人の顔なのに。


神崎の手が、ゆっくりと真由美の手に触れる。

触れて、そして、包み込むように、大切ににぎる。


「……付き合うか」

「……はい……っ」


涙でぼやけた視界の中。


真っ赤で、苦しそうで……でもすごく幸せそうな、先生の顔が見えた。










【end.】2016.9.22
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