不器用ハートにドクターのメス
いつも落ち着いている低音が、感情に波立っている。
必死さの滲む様子は、通常より神崎をずっと、幼く見せる。
「俺にとっては、多分……お前が初めての、まともな恋愛なんだよ。何やってても……もういちいち、お前が浮かんでくる」
「……っ!」
「構いたくなるし、独占したくなる。ほっとけねーし、俺が喜ばせたいとか思うし、アホみたいにパンケーキとか買っちまうし……あーもう、体に支障が出たらお前のせいだ」
「パ、パンケーキ……?」
「こんなアホみたいにカッコわりぃの、人生で初めてだ」
立て続けに責められて、真由美は目をしばたかせる。
けれどその真摯な訴えに、不安だった気持ちが、薄らいでいく。
……ちがうの?本当に、遊びじゃなく、わたしなんかを好いてくれているの?
神崎の目元は、少し赤い。
ひどく胸が締め付けられ、そんな大それたことをできるはずがないのに、真由美は無性に、神崎を抱きしめたくなった。
「……福原」
しばらくの沈黙のあと、うつむいたまま視線だけを投げよこし、神崎が呼んだ。
背筋を伸ばし、真由美は答える。
「~はいっ!?」
「好きだ」
「……っ、」
「お前が、好きだ」
神崎の真っ直ぐな声が、秋の空気を震わせる。
澄んだ空気を介して、微塵もけがされることなく、真由美の心に、染みわたっていく。
「その……あれだ。これからも一緒にいたいとか……そういう、意味で」