不器用ハートにドクターのメス
畳ばりの部屋の中心には、重厚感のある一枚板の座卓が存在を示しており、掛け軸の下に生けられた花は控えめながら品があり、日本の奥ゆかしさというものを表現しているかのようだ。
「1階の大浴場は22時までとなっておりますが、こちらの露天風呂は24時間、いつでもお使いなさってください」
神崎たちを案内した仲居は、丁寧な口調でそのように告げると、一礼して部屋を出て行った。
「……こちらの?」
ぽろりと疑問をこぼした真由美に、ああ、そういや伝えてなかったかと、神崎は口を開く。
「部屋に露天風呂がついてんだよ」
「えっ」
「ちっこいやつだろうけどな」
そう言って、大窓の方に歩いて行く。
大窓はベランダに続いており、その隅に、部屋付きの露天風呂が据え置かれていた。
ヒノキで作られた湯船。フタはされているが、そのすき間からは白い湯気がもうもうと立ちのぼっている。
ベランダには大粒の丸石が敷き詰められているため、まるで小さな庭のようになっており、周りはすだれのようなものに囲われているため、外から見られる心配もなさそうだ。
囲いはされているものの、天井部分までは覆われていないので、見上げれば白っぽい冬の空が見える。
夜に入浴すれば、星空が見えて風情があるだろう。
とてとてっと近づいて来た真由美は、その庭と風呂を見て「わっ」と短い歓声を上げた。
「お部屋にお風呂がついてるんですね……!」
大窓に指先を添え、露天風呂を熱心に見つめながら、真由美は顔を輝かせる。