不器用ハートにドクターのメス
「人によって、父親似とか母親似とか、言われ方が違うんだよ」
「そうなんですね」
じゃあ、先生のお父さんお母さんは、どちらも整ったお顔立ちをしているんだろうなぁ……と想像していると、
「今度会った時にでも、判別してやってくれ」
ゆるい笑みを交えてそう言われ、真由美は目を見張った。
内側から込み上げてくる感情に、くちびるを結ぶ。
正式な挨拶とか、そういうものではない。でも、両親に会わせてもいい存在として自分を見てくれていることが、真由美にはとても嬉しかったのだ。
それに、自分たちのことだけではなく、家族のことについても言葉を交わし、互いに対しての理解を深めていけることも、真由美にとっては、たまらなく嬉しいことだった。
……さて。
ここまで楽しく幸せな時間が続いたものの、夜が更けていくにつれ、真由美は緊張をぶり返し始めていた。
夕食の際にわりかし酒を飲んだものの、さすがのアルコールも、この緊張をほぐしてはくれないようだ。
つけているテレビから視線を外し、そろりと、斜め後ろに流す。
夕食を共にした部屋とは別に、竹格子を挟んだ奥に、寝室がある。
二人が散策している間に、宿の者が準備していたのだろう。薄暗い寝室には、布団が二組、ぴたりとくっついた状態で敷かれていた。
竹と竹の隙間に見える布団に、真由美は思わず息をのんだ。
急に生々しく感じ、じっと見ていると、眩暈を起こしてしまいそうだった。