不器用ハートにドクターのメス

き、消えてしまいたい……!

真由美が多大なる羞恥にさいなまれているところに、さらなるトドメがくわわった。

なんと、浴衣をひっかけたせいで胸元がはだけ、装着していた新品の下着が、ばっちりお目見えしてしまっていたのだ。

一瞬、二人の間に流れる時が止まった。


「ひ……っ、ひぃゃああっ!」


時の流れを取り戻したのは、真由美が喉から上げた、変な悲鳴だった。

真由美はばっと神崎から距離をとり、両手で胸元を閉じると立ち上がり、勢いよく、竹格子の向こうの寝室へと逃げ込んだ。

一枚の駆け布団を手早くはぎとると、その内側にくるまって、身を隠す。

隠れたところで状況は変わらないのだが、このときの真由美には、こんな対応をとることしかできなかった。

最悪だ最悪だ、最悪だ。

泣きそうになりながら、真由美は自分の間抜けさを責めた。

何度も頭の中で、シュミレーションしたのに。ばかだ。だめだ。

こんなカッコ悪いの、先生にあきれられてしまう。

涙をこぼしかけたとき、後ろからふわっと、包まれる気配がした。

背中にかかる、重み。神崎が布団ごと、真由美を後ろ抱きにしているということを、数秒遅れで理解した。


「……福原」

「……っ、」


布団越しに、神崎の声が聞こえる。

低くて、男らしくて、優しくて。どこか甘くて、いろんなものを含みすぎている声だ。


「……もしかして、色々不安にさせてたか」

< 249 / 260 >

この作品をシェア

pagetop