不器用ハートにドクターのメス
胸に直接訴えてくるような低音の声が、背中からかけられる。
布団の中で顔を崩しながら、真由美はふるふると、体を振って答える。
「……あのな、福原」
包み込む力を少し強めて、神崎が言った。
「べつに今日は……なんつーか。福原が怖いと思うようなことは、するつもりはねーんだ」
神崎の言葉に、真由美はぴくりと肩先を震わせる。
「あー……あれだ。旅行に誘ったのは……ただ単に、お前と長く一緒にいたかったんだよ。出かけてもせいぜい、半日とかだっただろ。だから……」
意識していたと丸わかりだったことが、無性に恥ずかしい。
けれど、神崎が温かな本音をもらしてくれたことへの喜びが、恥ずかしさに勝って、胸を塞いでいく。
「……ごめんな」
ちがう。先生じゃない。わたしが悪い。
先生じゃなくて、ただわたしが、未熟で、面倒くさいだけなのに。
必死に否定しようと、真由美はまた、ぶんぶんと体を振る。
「……福原。大丈夫だから……怖いことはしねーから」
少し間を置いてから、神崎が言った。
喉元に苦しさが込み上げ、真由美はいっそう、くしゃりと顔を崩す。
布団の中にいるから、じゃない。
先生が優しいから、愛おしいから、息が苦しい。
「……出ておいで」
「……っ、」
優しさをにじませた声が聞こえ、真由美は恥ずかしさと罪悪感を抑えながら、ゆっくりと手の力をゆるめた。
布団から頭が出て、肩が出て……とたん、そのまま後ろから、もう一度ぎゅっと抱きしめられる。