不器用ハートにドクターのメス
「せ、んーー」
「福原」
神崎の息が、首筋にかかる。
吐息まじりの呼びかけは、脳天を震わせるほど、甘い響きを持っていた。
「今からすっげー恥ずかしいこと言うから、絶対こっち向くなよ」
真由美の肩口と首筋に、頭を擦り付けるようにして、神崎が言う。
「……俺な。多分お前が考えてるより、お前のこと、好きだよ」
「……っ、」
「福原と出会えて……その……本当によかったと、思ってる」
耳に注ぎ込まれる、神崎の照れを含んだ言葉が、真由美の中に、じわりじわりと溶け込んでいく。
「仕事もな。お前がいるから、頑張ろうと思える。今までもオペやんのは好きだったし……頑張ってなかったわけじゃねーんだけど、でもなんつーか……すげーやる気出んだよ。独りよがりじゃなく、ちゃんと周りも見れる気がする。だから、今まで馬鹿にしてたけど、恋愛ってすげーもんなんだなって……、」
そこまで言って照れがピークに達したのか、神崎はいったん口をつぐみ、苦しそうなため息を吐いた。
そして真由美をぎゅっと抱きしめ直し、もう一度、くちびるを開く。
「……ずっと大事にしたい。だから無理しなくていい。不安なことがあれば何でも言ってくれればいい。そうやって……」
心が震える。
自分をぎゅっと抱きしめているたくましい腕に指先を添え、真由美は、神崎の言葉を聞く。
「そうやって、これからも一緒にいられればいいと……思ってるよ」