いつか孵る場所
夕方、ようやく透は家に帰った。

体はくたくた。
なのに頭が完全覚醒している。
とりあえずシャワーを浴び、久しぶりにソファーに座る。

- もうすぐ5時か… -

時計を見る。
確かハルって定時5時45分だったなあ。

- 迎えに行こうかなあ -

神出鬼没な桃子風にこっそり行ってみよう。
まだ精神的には微妙だけど、ハルに会いたい。
会ってどうなるわけじゃないけれど、ハルに会いたい。

「ハルに会いたいなあ…」

思わず、声に出す。
あの優しい笑顔が目の前に浮かんでくる。

ほんの1か月前まで、こんな自分はいなかった。
こういう事があった日は一人で納得するまで泣いて、自分で元の精神状態に戻していたのに。
いつの間にか、出来なくなっている。

透は立ち上がって服を着替えた。



パーキングに車を止めると透は会社の出入り口に近い場所で壁にもたれて立っていた。
日がだんだん陰り始めている。
定時すぐには出てこないだろうから、と思い午後6時少し手前にこの場所に来た。

案の定、会社から人が出てくる。
そこにハルの姿を見つけた。

いきなり行くと周りの人も驚くと思ったのでゆっくり近づく。



が。



視界に嫌な顔も入ってきた。

- あの男… -

大竹がハルの後を追いかけるように付いて行く。



透はその後を気付かれないように追った。
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