いつか孵る場所
「…あ…」

ハルは短く声を上げたけど透はそれに気付かない。

頭から湯気が出そうなくらい、思考回路がおかしくなっている。

ハルは慌てて透を追いかける。

バタバタと走る音がしてようやく透が振り返るとハルが躓き、前に大きくよろけた。

その瞬間、ドーン!という地響きのような音が廊下に響く。



「イタ…」

気が付くと透は廊下に大の字になっていて、転びそうになったハルをしっかりと抱いていた。

「…!」

ハルは起き上がろうとするけど、透がしっかりと腕を掴んで動けない。

「怪我は?」

背中の痛みに耐えながら透は声を出す。

「だ…大丈夫」

ハルのその声を聞いてようやく腕の力を緩めた。

「ごめんなさい、高石くん」

廊下に座り込んだまま、ハルは透の右腕を掴んで起こした。

「ううん、こちらこそ、突然ごめん」

ようやく体を起こし改めて透はハルを見つめた。

「…私」

ハルは無意識に透の右腕をギュッと握りしめている。

「私…あの…」

一瞬、目に力が籠ったように見えた。

「私も高石くんが好きだったの。ずっと前から」
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