さくらの花が舞う頃に
夏本はともかく、山本があんなに焦るのは珍しい。
なんかあったんかな。
部屋のカードキーをなくしたとか?
「なに?部屋に入れないとかならフロントに……………」
「違いますっ!! 先生……………さ、さくらが……………」
え?
「さくらがいないんですっ!!部屋にもお風呂にもトイレにもどこにも!!
さっきロッカールーム見てきたら、さくらのスキー板とスキーブーツだけなくて…………………」
その瞬間、俺は自分でも自分が何をしているのかわからなかった。