大人の恋は波乱だらけ！？
視線を逸らそうと下に持っていけば脇に何かを抱えているのが見えた。
A4くらいの茶封筒だ。

それを見た瞬間、ピンときた。
小説を出版社に持ち込みに行くのかな？
自分の事じゃないのにワクワクと胸が弾む。

彼の小説が世に出る日が待ち遠しくて堪らない。

そんな事を考えていれば、私が降りる駅に着いたみたいだ。
大きい駅の為、乗り降りする人の数が尋常じゃない。

フゥと気合を入れて遠くにある扉を見つめる。
乗り過ごさないようにしなきゃ……。

ドアが開いた瞬間、多くの人が移動し始める。

あ、男の人も降りるんだ。
その後に続こうとした時、男の人の手から何かが落ちた。

人混みの中に見えたのは茶色い封筒だった。


「……っ……！」


男の人も気が付いたみたいだけど人混みに慣れていないのか出口へと流されていってしまう。
焦った様に顔を歪める彼を見た瞬間、私の体は無意識に動いていた。


「……すみませんっ……！」


人混みを掻き分け落ちていた封筒を体を折り曲げて拾う。
乗車する人たちに押し戻されそうになりながらもなんとか体を押し込んで電車の外へと降りる。
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