大人の恋は波乱だらけ!?
「でも実際どうすればいいんでしょうか?
今から何か出来る事はありますかね?」


売上を2倍にする方法を考えていれば高梨部長は軽く言葉を放った。


「何もやらなくても大丈夫さ」

「……何を悠長な……」

「だってそうだろう?
お前も、俺たちも今出来る精一杯の事をやってる。
手を抜いている奴なんてうちの部署に1人もいないだろ?
だから俺は最高のゲームだと思っている、心配ないさ」


心配ないと言う高梨部長の顔には本当に焦りは見えなかった。
本当に皆の事を信じているのだと分かる。


「……でも一応、皆さんには報告を……」

「それも必要ないさ」

「ど、どうしてですか?」

「変なプレッシャーを与えるのは好ましくない。
それに、元はと言えば……これは俺の問題だ。
皆を巻き込みたくない、お前には迷惑を掛けて悪い」


そう言って謝る彼に胸が痛くなる。
哀しそうな顔を見て痛くなくて、私は勢い立ち上がり彼に駆け寄る。


「何でそんな事言うんですか!?
今回の事は私が社長に啖呵を切ったせいで……」

「お前は俺を庇ってくれただけだろ?
それに今回の事がなくても……俺と社長は何かと対立しているんだ。
その延長みたいなものだから気にしなくていい」


寂しそうに笑う高梨部長。
何でそんな顔をしているの?
私には分からないけど、それは確かに高梨部長を苦しめていた。


「……」


どこか遠くを見つめるような彼に少しだけ距離を感じた。
私は高梨部長の隣にいると思っていたけど、本当は……。
もっと遠い、遠い所にいるのかもしれない。
< 252 / 514 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop