大人の恋は波乱だらけ!?
翌日、私はいつもの様にオフィスで仕事をしていた。
処理作業をしながら昨日の事を思い出す。


『変なプレッシャーを与えるのは好ましくない。
それに、元はと言えば……これは俺の問題だ。
皆を巻き込みたくない、お前には迷惑を掛けて悪い』


高梨部長はそう言っていたけど、本当にそれでいいのかな?
考えれば考えるほど分からなくなる。

でも、あのゲームは皆で一生懸命作っているモノだ。
皆にも知る権利はあるし……。
何より……高梨部長1人にその重荷を背負わせたくない。

覚悟を決めたかの様に私は立ち上がった。
ガタンと音がした為、オフィスにいた皆が一斉に私の方を向く。


「葉月ちゃん?どうしたの??」


偶々、近くにいた景子先輩が私に近付いて来てくれる。

自分の意見をこんなに大勢の前で言うのは死ぬほど恥ずかしい。
でも、言わなきゃ……。
丁度、高梨部長は会議で出ている、今しか言う時がない。


「社長からの指示で、【夢の逃避行~私を愛して、狂わせて~】の売り上げを目標の2倍にしなければいけない事になりました」


私の言葉にみんなは思い思いの反応をする。
その多くが批判の声だった。


「は!?」

「何それ!?

「2倍とか無理でしょ!?」


でも、私は驚かなかった。
だってそれが普通の事なのだから。
騒がしいオフィスに響き渡るくらいの大声で私は言葉を放った。


「でも、この事は皆さんには言うなと、高梨部長には口止めされていました」

「どうしてそんな大事な事を隠すの!?」

「俺たちには関係ないってか??」


その事に不満を持った社員たちがコソコソと話している。
それも承知の上だったけど、やはり少し辛い。
早く誤解を解かなければ、そう思い口を開く。
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