大人の恋は波乱だらけ!?
「見た目だけで人を判断する様な人間は誰かの想いを受け止める器量もない。
人の心を大切に出来ない貴方は凄く寂しい人ですね」

「ふ、ふざけるのもいい加減にしなさいよ!
付き合ってる男がいるのに別の男と住む様な淫乱女にそんな事言われたくないわよ!!」


女性の言葉にピクリと肩が揺れた。
でもそれは、事実を言われた事からではなかった。

私の視線に映るのは、偽りの笑みを浮かべた男。
昴さんだ。
彼の顔は確かに笑顔を浮かべている。
でも、何故だか分からないけど、その顔は泣いている様に見えたんだ。


「確かに私は、違う男の人と一緒に住んでいます。
始まりは仕事関係からで嫌々だったけど、今は……」


次の言葉を言うか言わないかは凄く迷う。
だってこの言葉を言えば、高梨部長を傷つける事になるかもしれないから。
でも……。

チラリともう1度昴さんに顔を向ける。
彼の顔は先ほどと何ら変わりのない表情を浮かべていた。
それが余計に胸を痛める。
感情が籠っていないその笑顔を見る度に胸が苦しくなるんだ。

グッと掌に力を入れて、口を開いた。


「今は彼の傍にいる事が楽しいんです。
我儘で自分勝手で、ちょっぴり怖いけど……凄く優しい人。
一緒にいる時間は少ないけど、ちょっとずつ本当の彼を知れている気がして……」


昴さんを見ながら言う。
彼は何の反応も示さなかったけど、さっきまで感じていた、泣いている様な顔は消えてなくなっていた。
その事に安心していれば、ワザとらしく鼻で笑われた。
勿論、女性に。


「何それ?普通彼氏の前で言うセリフ!?」

「彼氏の前だからです。
私は彼に嘘をつきたくないし、自分にも嘘をつきたくない。
でも、これだけは言えます、彼を裏切る事はしていないし……。
私が好きなのは高梨部長です」


高梨部長に向き合いながら、真っ直ぐに言葉を放った。
恥ずかしいけど、それでもきちんと伝えなければいけない事だから。
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