大人の恋は波乱だらけ!?
重なりそうになった唇。
でもそれを阻止する様に大きな声が響き渡った。


「桜木!!」


聞き慣れたその声は高梨部長のモノだった。
でも、いつもの優しさなんて何処にもない。
昴さんの腕の中で呆然とするが、彼はキスを止めようとはしなかった。


「ん!?」


重ねられた唇。
唇を割って無理やり入ってくる昴さんの舌。

高梨部長の前だというのに。
私は昴さんとキスを……。


「桜木を離せっ!!」

「っ……」


ドンと鈍い音が路地裏へと落とされていく。
小さな声と共に地面に倒れこむ昴さん。
驚いて彼を視線で追うがすぐに視界は暗くなっていく。


「桜木……大丈夫か……?」


耳元で囁かれる声。
それは高梨部長の声で。
私は彼に抱きしめられているのだと理解をした。


「あっ……私……」


彼に心配をして貰う資格なんてない。
だって私は……。
高梨部長の温もりから逃れる様に彼の体を軽く押す。
< 320 / 514 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop