大人の恋は波乱だらけ！？
「……いいんじゃない？」


皆が息を呑む中で凛とした声が響いた。
その声は景子先輩のモノで、恐る恐る顔を上げれば綺麗な顔を緩めて笑う彼女が目に映った。


「このゲームの事は貴方が1番よく分かっているだろうし。
他の小説家なんかよりよっぽど上手くいくと思うわ！」

「景子先輩……」


先輩の優しい笑みに涙が出そうになった。
それでも我慢をしてお礼を言う。
景子先輩はグルッとオフィスを見渡すと『そうでしょ？』と皆に呼びかけていた。


「俺もそう思う！」

「賛成だよ！」

「葉月ちゃん！よろしく頼んだ！」


皆は笑顔を浮かべながら私を見ていた。
それが嬉しくて、言葉なんか出ない。
頷く事がやっとだった。


「じゃあ、小説は葉月ちゃんに任せるとして……。
誰か出版社にツテがある人いない！？
なるべく有名な所か人気な雑誌を出している所！」


景子先輩の言葉に皆は一斉に考え出す。
腕を組みながら、頭を捻る様にして。
だけど中々心当たりはないようだ。


「思ったんだが、こんな大がかりな事を部長の許可なくやっていいのか？」


誰かが呟いた言葉。
尤もすぎて何も言えないけれど。
それでもどうにかするしかない。


「それはそうですけど……高梨部長に言う訳にも……」


タメ息交じりに言えば、皆の視線が私に向いているのが分かる。
首を傾げていれば、ある先輩が『桜木ちゃん……後ろ……』と怯えた様に顔を引き攣らせていた。

何事かと思い振り返れば私はそのまま固まってしまう。
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