大人の恋は波乱だらけ!?
そんな彼の傷ついた顔を見たくない。
そう思うのに声が出せないんだ。

だって……。

私が何を言ったって貴方には届かない。
それがハッキリと分かったから。


「ふざけるなよ!何でそんな事を隠して……」

「そうですよ!アタシたちは同じ部署の仲間じゃないですか!」


皆の反応は各々だった。
怒り、哀しみ、驚き。
そんな中で、高梨部長は笑みを浮かべる。

いつもの笑顔じゃない。
疲れた様な、諦めた様な、哀しそうな笑顔だった。


「仲間、か……。
俺が社長の息子だと知っていたら……。
お前たちは今までと同じ様に俺に接してくれていたか……?」


震えた彼の声は私の胸に突き刺さった。

高梨部長の気持ちが分かったから。
何で彼が自分の正体を隠して働いていたのか……。

それは、特別扱いをされたくなかったから。

もし、社長の息子だと知れば周りの人の態度はガラリと変わるだろう。
媚びへつらう様に笑顔を浮かべて、高梨部長に接する。

それが彼は嫌だったんじゃないか……。
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