大人の恋は波乱だらけ！？

「僕は新條 昴（しんじょう すばる）です」

「私は桜木 葉月です」


軽く自己紹介をして私たちは一緒に飲み始める。
面識があるとはいえ、あまり喋った事がないから緊張してしまう。


「……」

「……」


お互い喋る事も無く黙ったまま飲み続ける。
一緒に飲むと決めた以上『帰ります』とも言えずに困ってしまった私はお酒へと走っていた。


「あ……あの……」

「はい」


気まずさに耐えきれなくなった私は新條さんに話し掛けていた。
何を話すか決めていなかったせいで頭が真っ白になっていく。
そんな私の状況を知る由もない新條さんは首を傾げながら爽やかな笑顔を浮かべていた。


「あ……えっと……私と飲んでいても大丈夫ですか？
彼女さんに怒られたりしませんか……？」

「彼女……？」


きょとんとする新條さんを見ながら私も首を傾げてしまう。


「さっきの人は彼女じゃないんですか……？」

「ああ、違いますよ、知り合いなんです」


ニコリと笑みを浮かべる新條さん。
知り合い……。
その言葉はしっくりと来なかった。
只の知り合いがお会計とタクシー代を払うものなのだろうか……？