SECRET COCKTAIL
「人に教えるのは、俺も勉強になりますから」
それは教育学部に通っている雅君の社交辞令のはずだったのに。
「じゃあ、そうね。これから、ちゃんと美來の家庭教師お願いできないかしら」
真に受けたお母さんは、さもいい提案だとばかりにそれを告げる。
「母さん、何言ってんだよ。勉強なら、俺が」
「お母さん、それは雅君の迷惑になるって」
「構いませんよ」
流石にそれはないだろう、と思って兄妹そろってお母さんの提案を却下しようとしたのに。
それとかぶるようにして、肯定の言葉が聞こえた気がして。
「え?」
と兄妹で、ポカンと口を開けてその相手に視線を向けた。