SECRET COCKTAIL
「ほら、冷めないうちに食えよ」
「う、うん」
雅君の視線がオムライスに向けられた事に安堵して。
更に火照る頬を誤魔化すように、残りのオムライスを口に運んだ。
「あ、でも、そういえばさ」
「なに?」
やっと頬の熱が引けた頃、思いついたように雅君が言う。
「親父の店は、弟が継ぐって言ってるから、一応跡継ぎはいるんだよ」
「そっか。雅君、弟さんがいるって言ってたもんね」
「ああ、まだ中三だけどな。料理人になりたいらしい」
「そうなんだ。じゃあ、お父さん嬉しいだろうね」
「だろうな」
そう言って笑う雅君の表情は優しくて。
本当に家族を大切にしているんだろうっていう想いが伝わってくるようだった。
雅君や、そのお父さんの人柄を表しているような、優しい料理を食べたせいか、私の胸の中まで温かくなってくるようだった。