SECRET COCKTAIL


「それでも雅君は、お店を継ぐことは考えなかったの?」


純粋な興味で聞くと、雅君は苦笑いして頷いた。


「親父は好きな事をしていいって言ってくれてる。自分もそうだったから、店に縛られなくていいって」


「そうなんだ。でも、料理もすごく上手なのにね」


「料理を作る事は好きだけど、俺は自分で自分の道を見つけてみたいと思ったんだ」


「見つけたの?」


「いや。ただ漠然と大学に入ったから、正直いろいろ迷ってたけど」


「けど?」


「最近、面白いって思うようになってきた。人に何かを教えるっていう事が」


「あ・・・」


「だから今は、教師になりたいって思ってるよ」


雅君は悪戯気にニヤリと笑みを深めて。


「美來のおかげだな」


そう言って手を伸ばして来て、私の頭をくしゃりと撫でた。

< 127 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop