SECRET COCKTAIL
「ううん。もう帰ろうかな」
いつもは、どんなに居心地が悪くても頑張って居座る私だけれど。
今日は仕事の疲れもあるのか、客層のせいなのか。
なんだか一人でここにいる気力がなかった。
「疲れてんなら、奥で休むか?帰り、送るけど」
手元でドリンクを作りながら、視線を寄越さずに話す雅君を思わず見つめてしまった。
一体、なんのサービスだろう。
時折こうして優しい言葉を発するから、ますます好きでいる事をやめられなくなってしまう。
想いが報われる事なんてないと知っていても、傍にいられるだけでいいなんて不毛な事を考えてしまうのだ。
嬉しすぎる申し出に、気持ちはぐらぐら揺れた。