SECRET COCKTAIL
いつもなら、間違いなくその申し出に飛びつく所だけど。
私にしては珍しく、ゆっくり首を振ってその気持ちを振り切った。
「やっぱり帰るね。明日、いつもより早いんだ」
それは嘘ではなかったのだけれど。
いつもなら、そんな事は理由にならない。
だって本当は、少しでも長く雅君の傍にいたい。
だけど、こんな日は。
やっぱり、雅君は遠い存在なのだと思い知らされるようなこんな日は。
分かり切っている事実から、せめて逃げる事位は許してほしい。