SECRET COCKTAIL
「じゃあね」
「ああ、気を付けてな」
チリン。
お店の扉を開けて。
未練たらしく振り返ってみれば。
すでに雅君は、カウンターのお客さんの元に戻って笑顔を見せていた。
胸の痛みが、更に広がった気がした。
背中越しに扉を閉めて。
そこに背を預けて、ふっと息を吐いた。
脳裏に蘇るのは、雅君の笑顔。
自分には決して向けられることのない笑み。
ますます自分の空回りする想いに、胸が締め付けられる。