SECRET COCKTAIL
カタン。
名残惜しさを振り切って立ち上がると、スツールが小さく音を鳴らした。
「ふーん」
いつもと違う私の行動にも、さして興味はなさそうに。
手にした氷を砕いている雅君を見て、まるで飛び散る氷の破片が刺さったかのように、胸に小さな痛みを感じた。
分かってる。
この想いが一方通行だという事位。
「お会計」
沈んだ気持ちのまま呟くと。
雅君がいつも通り声を発する。
「穂積(ホヅミ)に付けてるから、いい」
毎回繰り返されるやり取りを、懲りもせずに繰り返し。
私もいつも通りそれに頷いて、小さく手を振る。