SECRET COCKTAIL
雅君が振り返る。
「雅君」
開きかけていた扉を、雅君がもう一度閉めるのが見えた。
ダメだ。
こんな風に言うべきじゃない。
言っちゃいけない。
頭の中で、もう一人の自分が叫んでいる。
冷静に考えれば分かる。
でも熱く滾る思いに支配されて、冷静になんかなれなかった。
だって私はまだまだ子供で、大人になんかなれない。
それに、溢れ出しそうなこの想いを抑え込む術も知らない。
苦しくて、痛い位に膨れ上がった気持ちをない事にしなくちゃいけないなら。
初めから何もせずに諦める事を覚えなくちゃならないのなら、大人になんてならなくたっていい。