SECRET COCKTAIL
この喧騒に紛れてしまえたらいい。
こんな醜い自分を、誰も見つけないで。
通り過ぎる女の人は服もメイクも綺麗で、子供の自分とはまるで違う。
この街には、自分は不釣合いすぎると改めて身に染みる。
一刻も早くこの通りから抜け出したくて、ひたすら足を早めた。
「あれー、どうしたの?大丈夫?」
もう少しで抜け出せる、と思った所で強く肩を引かれた。
お酒の匂いが、強烈に鼻に付く。
「大丈夫です。離して下さい」
顔を覗き込んでくる男の人に顔を見られたくなくて俯くと、肩を抱いて身を寄せられた。
「俺が慰めてあげるよ」
嫌悪感で鳥肌が立った。
「結構です」
身を捩っても、男の人は簡単には離れてくれない。