SECRET COCKTAIL
「お待たせいたしました」
多田君の前に、きめ細やかな泡がふんわりと乗せられたビアグラス。
私の前には、透明なショートカクテル。
そこから微かにジンの香りが漂ってくる。
「なに、それ。マティーニ?」
興味深げに多田君が私に問う。
「いいえ、ギブソンです」
「ギブソン?」
すかさず答えた雅君に、聞き返したのは私。
「ええ。マティーニと似ていますが、添えているのはオリーブではなくてパールオニオンです」
多田君と一緒にいるからなのか。
他人行儀にそれだけ言って、雅君はテーブルから離れて行った。