SECRET COCKTAIL
「ほら」
目の前にコトリと置かれたのは。
真っ白なお皿に乗せられた、黄色い卵に包まれたオムライス。
トロトロの卵と、雅君特製デミグラスソースが掛けられたそれは、まさに絶品。
一度食べてからやみつきになった私は、三回に一回はこれを雅君におねだりする。
それなのに、このオムライスはメニューに載っていない裏メニューで。
特製デミグラスソースも、このオムライスのためだけに雅君がストックしているのだと知っているのはきっと私だけ。
もしかして、私が好きだからいつでも食べられるように用意してくれているのか・・・と期待してしまうけれど、それはありえない。
雅君が私のために用意してくれている、なんてありえないけれど。
だけど、私がオーダーすればこうして作ってくれるのだから、それでいいと思っている。
それだけで、私には充分贅沢なことだ。
目の前の彼が、決して笑顔でないとしても。
ここにいる事を許してくれている。
私は、充分それだけで幸せだ。