SECRET COCKTAIL


半分くらいそれを飲んだ頃。

やがて良い匂いが周囲に立ちこめる。


バターの香りがして。

それに玉ねぎの香りが加わって。

どんどん香りが増していく。


その香りがするだけで、きゅるりとお腹が鳴ってしまう。



まだ開店間際のこの時間。

他のお客さんが来ている事はほとんどないから、彼と二人きりになれるこの時間が私にとって至福の時だ。

このBarのマスターである、高城 雅弥(タカギ マサヤ)。

出会った時から、私が雅君と呼んでいるその人。


きっと雅君は、ほぼ毎日のようにやってくる私を、仕方なく相手にしているだけなのだろうけど。

ここに来るな、と言われた事は一度もないから、それを良いことに私は特別用事がない限りは必ずここを訪れるのが日課になっている。



それはなぜかって。





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