SECRET COCKTAIL
「美來(ミク)」
「な、なに?」
雅君の声で名前を呼ばれて、胸がドクドクと音を立てる。
こんな事で動揺するなんて、やっぱり単純すぎる。
だけどそんな些細な出来事だけで、今日も来て良かったなんて思えるんだ。
「次、何か飲むか?」
グラスの中のビールがなくなりかけたのに気付いたのだろう。
いつもタイミングを逃さずに、目敏く雅君がそう聞いてくれる。
私がビールを飲むのは一杯だけ。
その事を良く知っている雅君は、すでにシェイカーとグラスを準備し始めている。
それは、私が答えるセリフもいつも一緒だから。